奥秩父前衛 フシノソリ(1730m)、石ッコツ(1640m)、夕日アタリ(1592m) 2010年12月4日
所要時間 7:00 池−−7:48 フシノソリ 7:55−−8:14 旧信州峠−−8:37 石ッコツ
8:43−−9:04 夕日アタリ−−9:10 林道−−9:45 池
概要 高登谷高原から周遊。一帯の稜線は低い笹が生えているが膝丈程度で藪というほどではなく、濡れていなければ快適。周辺の破線はどこもほぼ廃道であるが、地図に無い林道もあちこちにある。フシノソリは低い笹に覆われた南側が開けた山頂。石ッコツはまるで人工的な石碑のような自然石が立つ露岩のピークで展望が良い。夕日アタリは県境から北側に僅かに外れたピークで自然林に覆われ展望無し。この一帯はどこも藪らしい藪は無く、適当な尾根を自由に組み合わせて歩くことが可能。
韮崎ICで降りて清里向けて走っていると雪が舞い始めた。大門ダム近辺ではかなり降ってきて夏タイヤではこの先大丈夫か心配になるほどだが、周囲の地面は黒いままなので春の淡雪のようにすぐ溶ける雪だった。上空を見ると星がたくさん見えており、雪は頭上から降ってくるのではなく八ヶ岳の稜線で発生した雪雲から強風に乗って飛ばされてきたもののようだ。これだったら八ヶ岳から離れるほど雪は減るだろうから信州峠くらいまで行けば問題ないかもしれない。案の定、清里から雪が減り始めて野辺山では晴れのエリアに入った。気温は0度まで下がっているので濡れた路面は凍結が恐ろしい。そういう場所はゆっくりと走行した。
川上村へ達する県道を離れて信州峠方面に入り、高登谷高原の案内看板で左に曲がり畑の中の一本道を上がっていく。やがて別荘地の案内地図が登場、それによると別荘地と道を挟んだ反対側に池があり(地形図にも記載されている)、そこから旧信州峠に破線が描かれている。旧信州峠とは池の南側の1530m鞍部のことだろう。道があるならそこから東西に振り分けて登るのがいいような気もするが、やはり周遊コースの方が楽しめる。どちらにしても池が起点としてちょうど良さそうなのでそちらに向かう。県道から右に入って少し高度を上げると池が登場、池の東側の林道は入口に鎖がかかって一般車通行止めで、西側は何かの建物で道は終点だった。建物付近は凍った水溜りがあって滑りやすく駐車するには不向きなので、池の北縁にある冬季閉鎖中の公衆トイレ前に車を置いて仮眠した。この日は風が強く車が時々揺れた。
池の北縁に車を止める。林道入口でもある | ここに鎖がかかっていた |
翌朝、朝飯を食っているとジムニーが上がってきて、東の林道の鎖を開錠して入っていった。鎖は外したままなので車で入ることも可能だったが、こちらが入っている間に閉められたら悲惨だし、このときには周遊ルートに決めていたので車で入るメリットは無いのでここから歩くことにした。ルートとしてはまずフシノソリに適当に登り、県境を西に進んで石ッコツと夕日アタリに登った後は北の谷に下り、東の尾根を越えて池に戻る計画だ。最後に登りが混じるが地形上しょうがない。
右に分岐する林道に入る | 谷に沿った林道を進む |
最初の林道終点だが廃林道は続く | 廃林道終点 |
林道を歩きだしてまもなく道が分岐、フシノソリにアプローチするにはどちらでも可能だが、一筆書きの周回ルートをとるなら左の林道の方がいい。ところが何を考えていたのか右の林道に入ってしまい、あとで地図を見て失敗を知った。まあ、この林道を素直に歩かずに早めに左手の尾根に取り付いて登り詰めればフシノソリなので大したロスではないが。地図に無い林道がいくつも分岐し、どれが本道なのか分からないが谷に沿って進んでいく林道を辿った。そして林道が右に逃げるところで林道を外れてそのまま谷を詰める。谷といっても少し湿っぽいだけで水は無くどこでも適当に歩ける。林道が無くなったと思ったがその先には廃林道が続き、やがて湿っぽい谷から乾いた谷に変わるところで完全に林道が消えた。ここはできるだけ左の尾根の方がフシノソリに近いところに上がれるので迷うことなく左に上がる。カラマツ植林帯で下草は無く道が無くても問題無しだった。
尾根に乗る | この目印が多い |
笹が現れるが低くて薄い | 1725m峰の鉄塔が近い |
尾根に上がると黄色い絶縁テープが巻かれた木が目立つようになり、この尾根を利用する登山者がいたらしい。たぶんこれを上がると1657.5m三角点に到達するのだろう。一筆書きにはならないがまあいいか。すぐに低い笹が登場するが藪というほどではなく乾いていることもあって快適に高度を上げる。やが左手に送電鉄塔が見えてきた。地形図の1725m峰の鉄塔のはずで、ここから見る限りは予想よりかなり近く、どうやらフシノソリから北東→北西に伸びる尾根上にいるようだ。ラッキー! これなら一筆書きになる。
1700m峰 | 1700m峰直下に林道あり |
フシノソリ直下 | フシノソリ山頂 |
フシノソリから見た南アルプス(クリックで拡大) |
1700m峰から先はなだらかで広い尾根となり、東直下には地図に無い林道が上がってきていた。西に僅かに下って再び登ると雪が乗った低い笹に覆われたなだらかなピークに到着。ここがフシノソリだった。南側はカラマツ幼木の植林でまだ背が低いので展望が良く、南アルプス南部まで見渡せた。ここに赤テープを巻いて落書きを残した。
西向きの県境稜線に乗る | 県境稜線は低い笹が続く |
ここからは県境を西に進んでいく。ただ、フシノソリから僅かに北に下ったところで県境稜線は西に逃げるのでそれを見落とさないよう気をつけなければならない。主尾根は西の尾根のように見えるがこれは偽者なので、元来た尾根に戻り北に向かい、斜面を下って左手下に見える尾根に乗り移る。落葉した冬場はこんな芸当ができるが視界が葉っぱで遮られる夏場は意外と難しそうだ。踏跡は無いが目印があるのでどうにかなるかも。
1657.5m三角点 | 1600m峰 |
県境尾根上は低い笹に覆われているがこちらにはあまり雪は乗っていなかった。1657.5m三角点は頭が赤く塗られて目立つ存在ですぐに分かった。ここはタダの肩なので三角点が目立たなければそのまま通過してしまうだろう。1580m鞍部は少し笹が濃くなり歩きにくくなり、1600m峰は北側を巻いた。
旧信州峠。踏跡皆無 | 1605m峰に向けての登り |
旧信州峠には踏跡があるかと思ったらそのようなものは全く無く、一面の低い笹原が広がっているだけだった。今度は1605m峰に向けての登り。最初は笹原だがそのうちに笹が消えて歩きやすくなるが、再び笹が現れる。ピークに登らずに北側を巻いたほうが笹が生えていないエリアがずっと広く楽できそうなので右にショートカットして唐松植林帯を歩く。尾根が近づくと再び笹の登場で、どこも同じような濃さなので適当に上がる。
1605m峰北鞍部で柵が登場 | 1605m峰北鞍部から見た甲斐駒 |
1605m峰北鞍部から見た八ヶ岳 | 1605m峰北鞍部から見た横尾山 |
県境尾根に復帰すると意外にも西側斜面はきれいに樹林が伐採され、幼木が植林された明るい場所だった。このままでは鹿に食われてしまうのだろう、周囲はぐるっと柵に覆われ、尾根上は柵の縁で刈り払いの恩恵があった。1610m肩では笹が切れて明るい落葉樹林とカラマツ植林の境界を歩き、傾斜が緩むと再び笹の登場、でも今度は低くて密度も低く邪魔というほどではなかった。
1610m肩へ登る | 石ッコツ東側 |
南側から登る | 石ッコツ山頂。石碑のような自然石あり |
石ッコツから見た西側の展望 | |
石ッコツから見た八ヶ岳 | |
石ッコツから見た北信の山 |
笹の中に露岩のピークが登場、正面から登るのは難しそうなので左に回って尾根に這い上がると、大きな石碑が立ったピークに出た。そしてここが石ッコツ山頂だった。石碑をよ〜く見ると文字が掘ってあるはずの正面の平面はのっぺらぼうで、裏面にも何も文字は無い。どうもこれは石碑ではなく自然の石らしい。これだけ石碑に似た天然石も珍しい。山頂はこの石と他に数個の露岩で展望良好、南ア、八ヶ岳はもちろん、雲は多かったが北信の山も見ることができた。
石ッコツ西側は刈り払いがあった | 笹が無く明るい落葉樹林を歩く |
フシノソリからここまで道らしい道はなかったが、ここから先は明らかに刈り払ったような空間が尾根上に延びている。それが無ければ矮小な潅木の藪だろう。ただし、この植生は石ッコツ山頂直下だけで、少し進むと背の高い自然林に変貌し、笹も無く快適に歩けるようになった。もちろん、これだったら刈り払いの必要は無いので人工的な形跡は見られなくなった。でも何となく道のような筋があるような無いようなであった。
県境を離れて北に進む | 夕日アタリ山頂 |
のっぺりした1580m峰を越えて次の1580m肩で右に折れる。目印も道もあるわけではないが明瞭な地形なので間違うことはないだろう。カラマツと落葉樹が混ざったなだらかな尾根を進むとこんもりとしたピークに到着、三角点があった。ここが夕日アタリだ。これまでのピークと同様に山頂標識は無く、赤布がぶら下がっているだけだった。周囲は樹林で展望は悪いが落葉期間だけは隙間からどうにか周囲の山は見える。
夕日アタリから北に下る | 1550m鞍部で伐採地に出た |
南に向かう林道あり | 標高1450mで林道を離れてトラバース |
間伐された唐松植林帯 | 自然林に入ると歩きやすくなる |
ここからはこのまま北尾根を進み、適当な場所で東側の谷に下って尾根を一つ越えて池に戻ることになる。尾根は気持ちのいい落葉樹林で、快調に下って鞍部に達すると伐採地に出た。そして東側直下には林道ができているではないか。これは地形図に無い林道だが、この谷に沿って下るのが普通だから利用価値は大きい。尾根歩きをやめて林道に乗り、少しUターンするように県境方面に進み、再び北に進路を変えてから標高を下げていく。あまり下りすぎると車道に出てから登り返しが必要だし大廻りになるので、標高1450m付近で林道を外れてトラバースに切り替える。しかし、この先の斜面は間伐したばかりのカラマツ植林帯で、カラマツだけでなくそれ以外の落葉樹も全て伐採して地面に放置してあり、斜面全体が人工倒木帯と化していて藪より進むのが厄介だった。小尾根を一つ越えて次の谷間までそれが続き、再び落葉樹林に到達してほっとする。
こんな場所も | 尾根を回り込むと眼下にテニスコートが出現 |
この斜面を下った | 池南側のグランドに降り立つ |
その先は苔むした石ころが重なった場所もあり、多少変化があって楽しめた。最後の尾根を越えると眼下にテニスコートが登場、これは池の手前にあったものだろう。ただ、テニスコートは周囲をぐるっと背の高い柵に囲まれていて降りても乗り越えるのは不能なのでなおも斜面をトラバース、テニスコートではない運動場で柵が切れ、そこで斜面を下ってグランドに出た。車道を僅かに歩くと池が登場、ほとんどロスなく1周できた。